歩きながら少し驚いたのは、普段東京の街を歩いていると信号無視なんてフツーにある光景なのに、ここ広島では全く見かけないのである。モチロン良い事なんだけれど「なるほどねー」と一人ウンウン頷いていた。
大通りから地下通路へ降り、原爆ドームと広島市民球場方面へ向かうと、今年の開幕時に作られ話題になったレオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』パロったポスターが壁一面に描かれているではないか。

大喜びしながらそこで記念撮影をしていると、横をスッと通る筋肉質の黒人が……。
「アレックス!?」
なんとカープのアレックス選手と遭遇してしまったのだ。気づいた頃には通り過ぎていたので、声をかけたりはできなかったけれど嬉しかったなー。ちなみにこのアレックスは、昨日退団が発表された。個人的にも結構好きな選手だったし、カープファンなら分かるであろう「アーレーックス!!」のコールがもうできないと思うと寂しい限りだ。一年半程だったけど、カープには欠かせない選手でした。今までありがとう。
さて話を戻そう。
そんな嬉しい不意打ちを喰らいホクホクしながら地上へ上ると、そこには今回の旅の目的である広島市民球場が僕らの目の前へ姿を現した。

「ただいま」
本当にそんな感じだった。一年ぶりに訪れた市民球場はなにも変わっていなくて安心した。昨年と唯一違ったのは、カープファンが押し寄せ球場全体に活気があることぐらいだ。この時カープは三位争いを繰り広げ、更に市民球場での試合が残すところあと僅かということで、最高の盛り上がりを見せていたのだ。
気持ちはここに残りたいけれど、とりあえず写真を数枚撮って、道路を挟んで反対側にある原爆ドームへと向かった。

――原爆ドーム
1945年8月6日午前8時15分、人類史上初めて原爆が投下された地の惨劇を今に伝える世界遺産。

僕がこの場所へ訪れるのはこれで二回目となる。昨年初めて来た時には本当に衝撃を受けた。今回は時間もないし兄と来ているので、パラパラと写真を撮りつつ、昨年昼寝をしたベンチに同じように横たわってみたりと思い出の地を楽しんでいた。

僕はこの場所がとても好きだ。『負の世界遺産』とも言われる原爆ドームが望める公園で、年配の方々が喉かに将棋に興じている光景は、安っぽいかもしれないけど“平和”というものが自然に感じれるのだ。

その後、暗い気持ちになるのを承知で平和記念館を周り、案の定ゲンナリしていると午後三時を過ぎていた。朝から休み無く活動していたので疲れもあり、とりあえず宿泊するホテルに一旦チェックインし、軽く一休みすることに。
数時間後にはこの旅の目玉、僕が市民球場で観戦する最後の試合となる広島−巨人戦が待っている。
つづく
